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「それが、優しささ」

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僕には、日頃からよく行っているかかりつけ医がある。車を走らせて、車がなんとか行き交う事が出来るくらいの細い山道を抜けると、少し舗装されたひろがりのある道に出る。

その道をまっすぐにに進み踏切の手前まで行くと。、手前の方に左に曲がる所がある。そこをちょっと進んだところにかかりけ医がある。

行くときは、毎月というほどのことはなく。2ヶ月間に一回くらいのペースで通っている。

そこは、昔からある所で僕自身が行き始めたのも小学生の頃からだからかなり昔から行ってるなって改めて感じた。

中に入っていくと、だいたい決まってるような地元の近く年配の人が多い。というかほぼほぼ年配の人しかいない。

だから、たまに年の近い人を見かけると。珍しいなと目につくことがある。

今日もいつものように受付を済ませて長椅子に行こうとするとガタイのでかい男の人がいた。見た目から歳は僕よりも上かなという感じががした。

特別その人が何かあったわけじゃないが、なんだか少しだけ気になったが別に大したこともないし。

テレビを見ながら呼ばれるのを待つことにした。

しばらくすると、看護婦さんに名前を呼ばれ中に入って行くことに。

昔から来ているが、昔からいた先生は今はいない。

何年か前に亡くなってしまったそうだ。

その先生は、とても優しいおじいちゃんというイメージがあり、地元の人から少し離れた所に住んでいる人まで愛されている人であった。

歳もかなりの事だったから何か大きな病気というよりも大往生だったのかもしれない。実際のところ聞いたわけじゃないから分からないのだが。

今までたくさんお世話になりました。いなくなってしまったことは、悲しくてさみしい気持ちだがその先生が残した医院は未だに健在である。

今は、その先生の代わりに別の先生が入れ替わりで診察をしてくれている。

その先生とも、なんどか顔を合わせる内に砕けた話もするようになった。

中にある席で順番を待っているとすぐに名前が呼ばれた。

軽くあいさつをすると、いつものようになんでもないような会話をした。

「これから、また寒くなってくるのでお体にお気をつけください。今年は、また一段と寒くなるみたいなので」

「そうなんですね。」

「いつもと一緒でいい?」

「はい、お願いします」

僕は、先生にお礼を言って扉を開けて、外の待合室でお会計の順番が呼ばれるのを待つため長椅子に腰をかけた。

席の後ろでは、来た時にいたガタイのデカい男がいた。

僕は、順番が来るまでスマホの画面を見ながら待っていると……

「もう、ちゃんとしてくれよ!」

先ほどの男はなんだか怒っているようすだった。

どうしたんだろう?

と見ていると。

男の隣には年配のおばあさんがいた。

おばあさんは自らのカバンを手を入れて何かを探しているようだ。

「たしかここに…入れたはずなんだけどな…」

焦っているような、なんてことないようなそんな表情で探していた。

その様子に男は、呆れたように「もう……」

と怒りを見せていた。

何か大事なものを無くしたのかもしれない。

家族なんだからもう少し大目に見てあげてよと思ったが家族だからこそ厳しくなってしまうのかな。

それによく見てみるとおばあさんの方も年齢的にもかなり高いような感じがする。きっと運転できない代わりに付き添いでここまで送り届けてきたんだな。

それを思うと、言葉とは裏腹に優しさってこういう事なんだろうなと考えさせられる。

僕自身も小学生の頃は、まだ一人でここまで来るのが出来なかったら、姉に連れてきてもらったの思い出したな。

その帰りに余ったお金で駅の中にあるアイスを買って食べたのがいい思い出になってる。

家族ってなんだろうな?

なんだも言い合える関係性のこと?

そんなに何でも言い合えるのはなかなか難しいよな。

それよりも何にも言わなくても、なんとなくでもそこにいて困った時とかは嫌々な顔をしながらも助けたりするものであるのかな。

世の中の全ての人がそんな事はないだろうし。実際、僕の理想のような関係性ばかりではないだろうけど……

言葉はあまりにも少ないし、普段なら怒らないようなことでも自分の機嫌が悪いだけで当たって。

でも、いなくなってしまうと悲しい気持ちになって。

なんだかんだで楽しい時間もあって。

そんな色々が詰まった箱の中に幸せが詰まっているんだろうな。

僕が見た彼とおばあさんは、母と息子なのか分からないけど……

そのおばあさんが最後の瞬間まで、きっとあの彼は少しだけ文句を言いつつも、見たこと無いくらいのきれいな涙を流すんじゃないかな。

その、涙はきっと誰かの元に届いて次の世代に受け継がれていくと。

これからも二人とも元気で過ごしているといいな。

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